2012年11月13日

かたあしだちょうのエルフ




手渡していただいたその絵本を裏返して開くと、そこには図書貸出カードが。




かたあしだちょうのエルフ




やはり、ありました。
あったのです。




かたあしだちょうのエルフ




小三・・・。
これは小学校三年生の僕が書いた下手くそな文字。
まだ名字を漢字で書けなかったのですね。



かたあしだちょうのエルフ




僕が通った小学校は10年以上前に廃校になったのですが、幸い異なった用途にて使って下さるNPO法人の方々が現れ、その設備はいまもちゃんと活用されています。

されています、と書きましたが、つい先日までは人づてにそう聞いていただけで実際に見たことはありませんでした。
この日は学校の近くで用事があり、用事が終わった僕は何気なく学校の前で車を停めてみました。
思い出がつまった小学校の前を素通りできなくなったのです。
よく見ると、校庭で畑仕事らしきことをしている方々が数人。
僕は車を降りました。
現在の様子については父母から簡単に説明を受けていましたから、少し近づいてその様子を見てみようと思ったのです。

この日校庭で作業をしていたのは知的障害を持つ方々でした。




かたあしだちょうのエルフ





前述のNPO法人の方々は、この廃校を利用して知的障害者のみなさんのお世話をしていらっしゃるのです。
ぼーっと見ている僕に、一緒に作業をしていたNPO法人のスタッフの方が声をかけてくださいました。
地元出身であること、この小学校の卒業生であること、その他諸々をお話したら、「どうぞ中をご覧ください」とおっしゃってくださいました。
「えっ、良いのですか」と言いながらも、僕は言われるままに玄関でスリッパに履き替えました。

「ああ、この建物は・・・ここは僕が通った小学校に間違いない。」

僕は感慨にふけりました。

「この教室で僕らは学んだのだ・・・。」

職員室、給食室、理科室、音楽室、体育館にプール。
スタッフの方のご厚意で、校内のほとんどすべてを見せていただけたのです。

図書館はとりわけ思い出深い場所でした。
小学校低学年の頃、僕はここでよく本を読んでいたのです。
本は廃校になった当時のまま、棚に置かれていました。

「エルフ・・・エルフ」
僕は心の中でつぶやきました。
懐かしい図書館に入った瞬間、僕が最も愛読した本のことが思い出されました。
本の名前を告げると、スタッフの方は迷うことなく
「ああ、その本なら確かこのあたりに・・・」
歩を進めて棚の前に立ち、一冊の絵本を取り出して僕に手渡して下さいました。



かたあしだちょうのエルフ




僕はスタッフの方と様々な話をしました。
そのほとんどは、僕が思い出をどんどん話し、それに対してスタッフの方が今はこうやって使っていますとか、その話は聞いたことがありますなどとあたたかく受け止めてくれる、といったやりとりで、校舎の中を一緒に歩いている間、僕は自身がどんどん癒されてゆくのを感じました。
もう夕方に近い時間でお疲れだったと思うのですが、突然の来訪者である僕を優しく丁寧に迎えてくださったスタッフの方に頭が下がりました。

かたあしだちょうのエルフの話はよくご存じの方が多いと思います。
手渡されたその絵本のページをめくってあらためてそのストーリーを確認してみたら、スタッフの方とエルフを重ねあわせてしまいました。
実にハードな仕事であることは、たった数十分の滞在でもよくわかりました。
身を削って、心を削って、毎日の業務に取り組んでいらっしゃるのです。



この日、僕の心の中でまた新しい何かが芽生えました。

僕は、また遊びにきます、と告げました。
スタッフの方も、また遊びに来てくださいね、とおっしゃってくださいました。























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Posted by Toyota Nordic Walking Movement  at 10:00 │Think & Do



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