血が巡る話
かれこれ五年近く愛用していたデジタルカメラが壊れました。
CanonのIXY DIGITAL 910IS です。
壊してしまったのは僕自身。
晴天の休日。
某公園の広い敷地にてノルディックウォーキングをしているときのこと。
よせばいいのに左手にこのカメラを持ったまま歩いていました。
良い景色があったら写真を撮ろうと企んでいたのです。
ノルディックウォーキングのポールとともにカメラのストラップを握りしめていたのですが、服装を直したくて、よりによって地面に砂が巻かれている場所で立ち止り、ポールを手から外そうとポールのボタンを押しました。
カチンと音がして手からポールが離れる瞬間、いつもの癖で握っていた手を開いてしまったのです。
ポールは僕の太腿の上にポトリ、カメラの方はレンズから砂の上にポトリと落ちました。
いつでも撮れる状態、つまり電源オンにてレンズが伸びて露出している状態でした。
慌てて拾い上げたのですが、電源ボタン等には触っていないのに何かの拍子でレンズがキュイーンとカメラの中に引っ込もうとしました。
キュイー・・・ガリガリガリガリガリ・・・ガリ・・・。
こうして上の写真の状況に至ったという次第。
(ネジ留めの場所などを間違えて後で組み立てられないと困るので、携帯電話のカメラで写真を撮りながら、分解しました。)
頑張れ、カメラくん。今助けてあげるよ。気をしっかり持て。痛くないか?
そう念じながら、ネジを外して部品を取り去り砂を除去しました。
しかし。
レンズは何とか動くようになりましたが、完全には引っ込みません。まだ砂が詰まって邪魔しているようです。
これ以上、無理にレンズを動かしたくないけれど、直ったかどうかを試すには、電源をオンオフしてレンズを動かすしかないのです。
こうなるともっと細かく分解しなければなりませんが、ちょっと勇気が要ります。
再び組み立てられたとしても正常な動作や撮影をしてくれるかどうかは未知数です。
確かなことは自分でやらずに修理に出す方が直る確率が高いこと、そしてその際かかる料金は新たに一台買える金額であるということ。
修理の手を止めた僕は、このあたりでは一人勝ちだがよその都府県ではあまり見かけない電化製品量販店のエ○デンさんへ車を走らせました。
型遅れにて超特価ワゴンセールとなっていたLUMIXをゲットしさっさとレジへ。(最近のIXYは嫌いなのでした。)
これで写真を撮るのには困りません。
帰宅した僕は、再び壊れたIXYを手に取りました。
修理の続きです。
迷いはふっきれました。
僕の愛機。
特にこのカメラとの約五年の付き合いのうちの前半分の期間、東京にいたときも、東北にいたときも、常に僕のかたわらにいてくれました。
このまま死なせてなるものか。
出来る限り自分で直す。
しかし自分で直せなければ、修理に出す。
修理に出すとき、お金のことは気にしない。だってもう別のカメラを買ってあるのだから。
買い買えと修理の時期をずらしたとしても、痛い出費となることに違いは無いけれど、気分は違う。
僕はカメラを二台持っている。
一台は新しいがもう一台は古い。
古い方は、古いというだけでカメラとしてまだまだちゃんと使えていたのに、僕が不注意で壊してしまった。
壊れたカメラを直しているあいだは、もう一台の方を使えば良いからあせらず修理すればいい。
自分で直せなければ修理に出すまでだけど、修理に出せばたくさんのお金がかかってしまうから、修理をする手にも気合いがみなぎる。
このネジで、こことあそこの両方を効率よく押さえてある・・・。
あのネジを先に外さないと、ここも開かない・・・。
この隙間にあれをあらかじめ挟んでおかないと、うまくしまらない・・・。
僕の脳と目と指先に、勢い良く血が巡るのがわかります。
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